新型コロナと子どものリスク(1)

はじめまして。湘南藤沢の小学校に通う児童の保護者です。

昨年春から主に子どもに関する新型コロナのリスクや学校での感染予防策について情報収集を行い、対策を心がけてきました。


はじめに


第4波が押し寄せるなか、藤沢市でも10名前後の陽性患者数の発表が続いており、2021年5月12日時点で1週間の人口10万人あたり感染者数が19.7人にのぼり、ステージ3相当になっています。実効再生産数(
東洋経済方式)も1.15と1を超えています。

出典:藤沢市

1週間の平均検査陽性率も上昇傾向にあり、GW前の2021年4月27日時点で4%超と、一時期の米ニューヨーク州の基準であれば、学校は休校(オンラインのみ)となる水準です。(神奈川県全体では2021年5月10日時点で7%弱です)

感染者数、検査数、人口などの条件が異なるため、単純比較はできませんが、近隣の小学校で複数の児童の感染や、教職員の感染に伴う学級/学年閉鎖が相次いでおり、親としては、今の対面推しの公立学校が安全とは感じられません。特に、給食は黙食といっても低学年では徹底が難しく、毎日30人で会食をしているのに近い状況です。

グローバル企業に勤務していることもあり、この一年世界中の知人と情報交換してみました。そうした一次情報に加え、海外のニュースに日々触れる中で、日本の公立学校では新型コロナのリスクの認識や対策が十分ではなく、先生や子どもが危険にさらされているとの認識を強くしました。

海外の状況


諸外国では全面オンラインにしても、対面とオンラインのハイブリッド(日本のいわゆる
選択登校制に近い希望者のみ登校する形に加え、週の半分を登校とオンラインに分ける形など色々パターンがあるようです)にしても、ITを適切に活用し、フレキシブルな対応を取っている例が見られます。

また、子ども達を守るために、対面再開時においても、学校での社会的検査、教職員へのワクチン接種、高性能マスク着用の義務化など、技術革新や最新の科学的知見に基づいた施策を交えて、段階的かつ慎重に進めている国もあります。

これらの施策は日本でもやる気があれば、真似できる良い取り組みがありそうです。

感染が落ち着いているときには対面主体で良いですが、感染の波が激しくなってきている現在のように、子ども達の生命や健康に関わる重大な危機が迫っているなかでは国内外の先行事例から学び、スピード感をもって対策をアップデートしていく必要があります。

子どもが登校するかしないかは、各家庭のチョイスです。子どもが学校に通うことに抵抗のある家庭、年配の方がいる、または喘息など持病のある生徒に配慮した形です。小学5年生になった次男のクラスでは22人中、半数近くの生徒が登校しない選択をし、Zoomで配信される授業を自宅から受けています。

イングランドの学校に関しては、コロナのテストを最初の2週間の間に3回受けます。30分で結果がわかる鼻腔スワブ検体による 新型コロナウイルスPCR検査です。
また、このテストは任意で、親が同意した場合に行われます。

2月8日(月)から、フランスの小学校・中学校・高校で生徒が着用するマスクは、3ミクロン以上のウイルスを90%以上カットするサージカルマスクか、カテゴリー1の布マスクが必須となる。それ以下のカテゴリーの既製のマスクや手作りマスクは学校では使えない。

保護者の判断で子どもの対面授業への出席可否を決定でき、オンライン授業を継続することも可能となっている。
(中略)
学校内で感染する可能性を懸念し、教員のワクチン接種が完了した後に対面授業を再開するとした地域もあり、政府は教員へのワクチン接種計画を推進している。

約1年間で断続的に何度も休校を経験したが、私が驚いたのは、休校のたびに自宅学習の様式がアップグレードしていった点だ。

上述のように最初の休校の際には、先生との課題のやり取りに主にEメールが用いられていたが、その後、Microsoft Teamsが整備され、教科ごとにTeams上で課題のやり取り及び提出期限の管理がなされ、実際の授業時間に合わせてオンランミーティングを活用した授業が開けるかたちに進化していった。

対面授業が認められる期間の学習様式についても、生徒間の距離の確保を目的としてクラスを2つのグループに分け、1週間毎に交互に対面授業と自宅学習を繰り返すという方法が昨年後半に取り入れられた。再度の休校後の2月からの学校再開に際しては、2つのグループが2日毎に交互に登校し、金曜日は全員オンラインというかたちを取ることで、全ての生徒が1週間毎に同じ段階にいられるような工夫が加えられている。

シンガポールでは、何らかの理由で通学が困難になった場合を想定し、以前からオンライン授業の充実を図っています。例えば、Singapore Student Learning Space(SLS)と呼ばれる、オンラインのプラットフォーム等を多くの公立学校では取り入れています。
生徒はこのプラットフォームにいつでも、どこからでもアクセスすることができます。

中国政府の教育部は、メガIT企業であるアリババが提供するテレワーク支援アプリ「Ding Talk」をオンライン教育の推奨ツールに指定した。これが一気に塾や習い事、学童にオンライン教育が広がるきっかけになったという。


日本の状況


子どもは感染しづらく、拡大しづらく、重症化しづらいという通説が、日本では主流です。実際に、以下の記事で示されている国内外のデータも概ねこうした見解と矛盾はないようです(2021年7月23日追記:ただし、この「通説」の妥当性については、本当に新型コロナの「子どもの感染者は少ない」のか?で検証しました)。


※希望する先生のワクチン優先接種を
提言されているのは賛同しますが、変異株が広がり、学校クラスターが散見される今でも「現在行っている感染対策を粛々と継続する」「今後の動向を注視」に留まっているのが残念です。感染経路に関する米CDCWHOの更新を踏まえ、空気を介した感染リスクへの対策強化にも触れていただきたいです。

一方、学校の再開に伴い感染を封じ込めきれていない欧米から、子どもの感染者数の増加、それに伴う重症・死亡例など、センセーショナルなニュースが目立つようになってきました。

一時期は対岸の火事という感じでしたが、日本でも子どもの感染者が増え、2021年4月には10歳未満の重症事例が続きました。

のような中、文科省もGIGAスクール構想実現に向けた1人1台の端末整備を推進するなど対策を進めてきています。

しかし、昨年の緊急事態宣言から1年以上期間があったにもかかわらず、
医療崩壊が叫ばれる大阪市でもオンライン授業が実施できている学校は少ないようです。

選択登校制については
全国の保護者から導入を求める声があがっており、各自治体の首長と教育委員会に対して、要望書を提出する動きがありました。大阪市に対しても、2021年2月の段階で市民からの声が寄せられていたようです。

このように、声は上がっているものの国内で子どもの感染防止と学習を両立するための動きは鈍いといえます。
寝屋川市のようなモデルとなり得る自治体もありますが、限られているのが実態です。

感染が落ち着いているときに迅速に取り組んでこなかったことで、オンライン学習の準備が整っておらず、休校か対面かという二択を迫られているというのが多くの自治体の状況ではないでしょうか。

親としてのスタンス


新型コロナについて、当初は未知の感染症であったことから、米CDCやWHOのような専門機関や公衆衛生当局、専門家から出されたガイダンスのうち、後に覆されたものがありました。

代表的なものとして
無症状者にはマスク着用を推奨しない(WHO)という方針が転換されたことは記憶に新しいです。日本でも、「37.5度以上の発熱が4日以上」という相談・受診の目安は、その後見直されました。最近では迅速大量検査の是非、空気を介した感染の影響の大小について世界で議論が進み、政策やガイダンスのアップデートが進んでいるようです。

一般市民としてよりどころとすべき当局のガイダンスが頻繁に更新されたり、専門家の間でも、感染経路と感染防止策という基本的事柄についてさえ未だに激しい論争が行われたりしている場合、子どもの健康に責任を持つ保護者は、どうしたら良いでしょうか。

私は、親として、主に
海外から伝わってくる重症・死亡・後遺症Long Covid)の事例を見る限り軽視しない方が良さそうだ。当初軽症でも重篤な症状につながる小児多系統炎症性症候群(MIS-C)や未知の後遺症リスクから子どもを守るために分からないうちは安全よりの判断・行動をしようと決めました。

このブログでは、子どもや学校の新型コロナのリスクについては慎重を期すというスタンスで、親目線で、気になるニュースやエビデンスを取り上げていきます。

学校における社会的検査、空気を介した感染への対策強化などについて、子どもを守るうえで意味がありそうなものには触れていきたいです。

あくまで、医療や公衆衛生などの専門性のない一般市民の備忘録的なブログであり、ピックアップする情報も偏りがありますが、
似たような問題意識を持つ方に何かしら役立つ情報があれば幸いです。

次回は、子どもと新型コロナのリスクの捉え方について私見を述べてみます。


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